332人が本棚に入れています
本棚に追加
かつての恋人、朝倉可奈子の命日。
毎年、この日に欠かさず朝倉家を訪問していた圭吾は、近況含め、失礼を承知の上で二ヶ月前に婚約したばかりである事を報告した。
七年間止まったままの時間を動かすために――新たな人生へ向けて、一歩前へ踏み出すために。
「結局、もう一度私を『おじさん』と呼ぶ事はなかったな、圭吾」
「流石にもう、そんな勇気は持ち合わせていません」
おどけた眼をした宍道に見つめられ、圭吾の整った顔に苦笑が浮かぶ。
最初のコメントを投稿しよう!