蝉しぐれのあとに

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 ――可奈子、ごめん。  美優から聞くまで知らなかった。  強気な君の悩みと苦しみは、俺が考えていたよりずっと深かったんだって。  俺の過去を知った時、君はどんな思いをしたんだろう。  きっと凄く嫌な気分になったろうに、君は俺を責めることもせず、自分を追い込んでいったのか?  難題ならいつもふっかけてきたくせに、君らしくないよ。  腹に据えかねたなら、君の気が済むまで殴っても、罵っても、構わなかった。  今更だけど。  俺に何もかも、打ち明けて欲しかった。  ……美優とのことは、決着したよ。  きっと彼女も解ってくれたと思う。 「……」  圭吾は顔を上げた。  傍らの唯が自分を見つめていたことに気づいて、軽く片眉を上げて問う。 「伝えたい想いが、たくさんあったんですね」  唯は優しい微笑を浮かべた。
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