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政財界に太いパイプを持ち、睨まれたら確実に破滅が訪れるとまで囁かれる朝倉家当主の宍道を、過去に『おじさん』呼ばわりした若者は圭吾ただ一人だった。
酒に酔って吐いた一言とはいえ、結果としてはそれがきっかけで宍道、圭吾の関係が一層親密な方向へ向かったという稀なケースであった――当時三十だった若き圭吾は後日周りからその態度を指摘され、頭を抱えることになったのだが。
「……君がここで笑顔を見せるのは、あの子がいた頃以来か」
深いしわが刻まれた険しい顔が、嬉しそうにほころぶ。
そして宍道は一層険しい面持ちになり、言った。
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