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「旦那ー、お八つだよー」
今日の八つが入ったお椀を手に旦那を呼ぶ。
おせちの残り物だけどまあ、いいよね。
旦那が後ろの尻尾を振りながら駆け寄ってきた。
その顔は、というか目はキラキラと輝いて獣耳も心なしかぴくぴくと動いているように見える。
「佐助!」
早く早くと言うように手を伸ばしてちぎれんばかりに尻尾を振る旦那に、ちょっとばかり悪戯心が芽生えたってしょうがないよね。
「……やっぱりあーげない」
「さっ、佐助っ!?」
なんで?なんでくれないの?
俺悪いことした?俺って悪い子なの?
途端にしょぼんとなる耳と尻尾。
目はこちらをじいっと見つめてくる。
その姿はまるで餌抜きを宣言された犬のようで。
うん、可愛いけど可哀想だからやめよう。
「嘘だよ、ちゃーんとあげるから。今日は栗きんとんだよ」
はい、あーん
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