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眩しさを感じ目を覚ました。
穏やかな陽気と爽やかな空気に、昨日あったことを忘れて笑顔で過ごそうと心に誓い、気合を入れるように自分の顔を両手で叩いた。
痛い……。
(何をやってるんだ?リナリア)
傍で寝ていたデイジーが、心配そうにリナリアを見る。
デイジーおはよう。気合を入れたの。スカイ様に迷惑をかけないように気をつけようと思って。シラーの名前も貶さないように頑張るわ。
泣いたせいか目が赤く腫れ、痛々しく笑うリナリアにデイジーは顔をしかめた。
(あんな奴に気を使う必要はない!)
怒りだすデイジーにリナリアは困ったように首を傾げデイジーの頭を撫でる。
あら、時間が経てばスカイ様も私を見てくれるかも知れないわ。だから私も頑張るわ。顔と髪や瞳の色は変えようがないけど努力は惜しまないわ。
にっこりと笑ってデイジーを見た。
外で照らされている太陽のような明るさで。
(……まったく。少しはスカイを困らせれば良いものを)
耳を立て怒っているデイジーを宥めながら話をしていると、扉をノックする音が聞こえた。
声が出せないためデイジーとどうすれば良いのか顔を見合わせていると、少し経ったあと、ゆっくりと扉が開き、一人の女性が姿を現した。その後ろにも数名の姿が見える。
「失礼致します。朝食を皆様でご一緒にと陛下がおっしゃっておいでです。お支度をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
まだ寝台の上で夜着のまま座っているリナリアを見つめ女性が話を続ける。
「申しおくれました。私は、リナリア様のお世話を担当することになりましたシアラと申します。よろしくお願い致します」
目を丸く見開いたまま、きょとんとしているリナリアにシアラが近寄る。
「どうかなされましたか?」
反応がないリナリアにシアラが近寄り床にひざまづく。
その行為に驚き、慌てて寝台を下りると、シアラの手を取り、掌に指で文字を記した。
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