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「そんな失礼な態度なら、もう私達と食事をとらなくても結構だ」
こちらの気持ちを一切聞いてくれないスカイに必死に伝えようとするが、視界が涙でぼやけて見えなくなる。
なぜ……私の気持ちを聞いてくれないの?そんなこと思ってもいないのに。
「これからは一人で食べたい時に食事をとればいい。私達も気を使わなくて済みますから。あなたの顔を見ながら食べると……食事もまずくなる」
……私の顔はそんなにひどいの?
言いたいことだけ吐き捨てるように一方的に伝えられるとスカイは部屋を出て行った。
耐えきれなくなり涙が頬を伝う。
(リナリア泣くな。あんな男の言うことなんか気にするな。大丈夫だから)
いくらデイジーが慰めても、リナリアの涙が止まることはなかった。
これ程までに、リナリアが泣き続けるのは、デイジーにとっても予想外で、ただ傍にいることしかできない。
時間だけが過ぎていく中扉の外から声が聞こえた。
だが、リナリアは泣いていて気づいていない。デイジーがオロオロしていると、シアラの案内でスノウが姿を現した。
二人共泣いているリナリアを見ると驚いたように駆け寄ってくる。
「どうなさったの?リナリア様?具合が悪いの?それとも……」
問いかけても泣き続けるだけで何も反応しない。そんなリナリアの隣に座りスノウはリナリアを抱きしめた。
まだ16のリナリアにはこの状況に耐えるだけの精神力がなかった。誰も知り合いが居ない未知なる土地へと一人でやって来た。その不安は計りしれない。
食事の時、リナリアに対するスカイの態度が気になりスノウは心配になり訪ねて来たのだとリナリアに優しく説明する。
「落ち着いて……大丈夫」
子供をあやすように、背中をさすりスノウがリナリアに語りかける。
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