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『迷惑をかけてごめんなさい』
落ち込みながら、羊皮紙に記しスノウに見せる。
「そんな、ささいなことは気にしないで。陛下も気にしていたわ。スカイの態度があまりにも悪いから……」
とたんにスノウの顔が曇った。
リナリアは一瞬迷いながらもスノウを伺い、意を決したように羊皮紙に文字を綴る。
『スカイ様がおっしゃっていました。陛下もスノウ様も私との結婚を反対していたと……もし今も同じお気持ちでしたら落ち着いたらシラーへとお戻し下さい。私が正妃にふさわしくないと父に伝えて下さいませ』
リナリアの泣きそうな想いにスノウがリナリアの髪を撫でる。
「最初は……そうね。反対したわ。声も出せない正妃なんていらないと思ったわ」
その言葉に胸が痛む。
私もそう思う……未来の王妃が言葉を話せないと言うことは、何かがあった時に対処が出来ず国同士の争いに発展することもあるからだ。
「でもね……あなたが初めて私達と会った時、すごく驚いたわ。どんなおどおどした姫が来るのかと思ったら……違ったもの」
その時のことを思い出したのか嬉しそうにリナリアの長く細い髪を撫でる。
「堂々としていたわ。声が出せないとは思えないほど。それと、人への気配りや配慮も見ててこっちが気持ちよくなるようで嬉しかったわ」
……私をそんな風に評価してくれるのは、今までは姉達だけだった。容姿も変わっていて力も、何のとりえもない私を褒めてくれるのは。
『でも、私は容姿も普通ではないので見ていて気分が悪くなると思います』
「……誰が、こんなにひどいことを言ったの?」
スノウは綺麗な眉を寄せながら不快そうに語尾を強める。
スノウを怒らせてしまったのだと体が微かに震える。
傍に控えていたシアラやスノウ付き侍女達の顔色も変わった。
その侍女たちの慌てように、言ってはならないことを伝えたのだと察し俯き口をつぐんだ。
「シアラ答えなさい。誰が言ったの?」
リナリアの書いた羊皮紙をシアラに読むように促す。
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