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「スカイね……あの子が何か言ったのね?」
侍女から何かを聞いたらしく、歯切れの悪いリナリアの態度にスノウは何かを察する。
スノウ様はご存じなかったのだわ。そこまでスカイ様は、私のことを誰にも見せたくないのね……。
少し持ち直した気持ちが、また萎み出した。
『いいえ、スカイ様は何も言いません。私の勘違いです。でも……』
一旦躊躇し決意したようにペンを走らせる。
『申し訳ありませんが、これからの食事はご遠慮させて下さい。緊張するので、しばらくは一人で食べたいのです』
「……何を言ってるの?誰に何を言われたの?リナリア様?」
読み終えると、リナリアの両腕を掴みスノウが真実を問いかける。
『誰にも何も言われてはいません。安心して下さい。少しの間だけで良いのです』
固いリナリアの決心に何を言っても無駄だと悟ったのか、スノウは渋々頷いた。
「わかりました。ですが……少しの間だけですよ。良いですね?」
そう言うと、慰めるように、もう一度リナリアの髪を優しく撫でる。
『はい、我が儘を言って申し訳ありません。ありがとうございます。スノウ様』
「義母とは呼んでくれないのですか?」
少し寂しそうに問われ、どうすれば良いのかわからなくなる。
「ごめんなさい。いきなりは無理よね。ゆっくりと始めましょう。困ったことがあればすぐに言って頂戴」
寂しそうに言われるが、リナリアも困っていた。
スカイ様に嫌われているのに、スノウ様のことを義母と呼んだら……また怒らせてしまうかも知れない。これ以上は……嫌われたくない。
スノウ様はとても優しい。醜いと周りから言われた私に、とても良くして下さる。でも……私は、スカイ様の正妃として、誰もが納得し認めてくれるようになりたい。
スカイ様の傍にいても釣り合うように頑張りたい。
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