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それからの毎日は孤独だった。
朝、昼、晩、食事は三食とも部屋で一人で食べた。
誰も部屋に訪ねては来てくれなくて誘われることもない。スノウ様も忙しいのか、あれから一度も声をかけて下さらない。
朝起きて話す相手はシアラ達侍女だけ。そのシアラも忙しいらしくリナリアの相手を、ずっとはしてくれない。
部屋から勝手に出るのは、スカイから禁じられた。毎日毎日、部屋のバルコニーから外を眺めるのが日課となった。
……いいな、鳥は自由で。広い空を飛べて。好きな所に行ける。
空を見上げると、大きな羽を広げ気持ち良さそうに飛んでいる2羽の鷹の姿。
私が、ここにいなければならないのは顔が醜いから?だから外にも出ることは出来ないし人にも会えないの?
傍に私がいると……恥ずかしいんだ。髪も瞳も気持ち悪いから。
そっと自分を慰めるように左目に手をあてた。
姉様達は、とても綺麗な瞳だと誉めて下さったのに。この髪も誉めてくれたのに。スカイ様は……気持ち悪いんだ。
すると、遠くから賑やかな声が風に乗り聞こえてきた。
騎士団の訓練が一旦終わる時間らしい。お昼になると、毎日聞こえてるにぎやかな声。
その楽しそうな声を聞いていると、自分が生きていると実感できた。まだ自分は誰かの声を聞けると……。
……良いな、私も人と話したいな。
「えっ――――!!」
ぼんやりとしていたら、いきなり後ろから腕を捕まれ、部屋の中へと引きずり込まれた。
乱暴に窓が閉められ、ビロードのカーテンが音を立てて引かれ室内が暗くなる。
振り返ると、スカイがリナリアを睨みつけ見下していた。
「何をしている?何でバルコニーにでている!姿を見られるだろう。お前を見られたくないんだ」
怖さで震える腕を乱暴に離されると冷たい床に倒れ込む。
離された腕は、赤く痕がつき、じんじんと痛んだ。
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