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繋いでいた手を離す。
グレイスが悲しそうな顔をしたのを見逃さなかった。
でも、次の瞬間――――。
思いっきりグレイスに抱き付いた。
言葉では伝えられないけど、これから少しづつ伝えるから、今はこれが精一杯。
「リナリア――――!!」
最初に聞こえたのは、後ろから見守ってくれているミモザお姉様の悲鳴。
そして……。
「これは……傍にいても良いってこと?」
まだ、半信半疑なのか、グレイスの両手は宙を、さまよったまま。
グレイスを赤い顔のまま仰ぎ見る。そして恥ずかしげにコクリと頷く。
「ありがとう」
冷静な声とは裏腹に背中にまわされた手は力強い。
「もう――まさかグレイスにリナリアを渡すなんて考えられないわ!」
抱き合って意思をお互いに確認し合っていると、近寄って来たのはミモザお姉様。
「大切にしますよ」
「当たり前でしょ!可愛い私の大切な妹よ。幸せにしてくれなきゃ許さないわ」
お姉様を見ると、なぜか……お姉様も瞳に涙を浮かべている。
「まさか、こんなに早く誰かに取られるなんて。もう少し私達の傍に居て欲しかったのに」
まるで、私がすぐにグレイスに嫁ぐような言い方。
「大事にします。永遠に。だから見守っていて下さい」
「わかったわ……この場は認めましょう。リナリアが決めたことですもの。でも……姉はあと4人居るわよ?全員を説得しなさい」
そうミモザが言うと、グレイスは苦笑いを浮かべる。
「……きついですね。お手柔らかに頼みます。姉君達のリナリア様への溺愛振りは国中が知っていますから。でも……」
一旦、話を切り、まだ腕の中にいる私を見下ろす。
「大切な宝物を守れるなら頑張りますよ。リナリアの幸せのために――」
グレイスの真っ直ぐな想いはお姉様にも伝わったみたいで、お姉様は頷き教会を出て行った。
「必ず守ってみせるから――」
それがグレイスとの永遠の約束。
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