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すると……頭の上から微かな……いや、かなりの笑い声が。
顔を上げると堪えきれなくなったのかグレイスが大きな声で笑い始めた。
なんで笑うのよ!
頬を膨らませ反抗的な目で睨み付ける。それでもグレイスは笑い続け、しまいにはお腹を抱えて笑う始末。
グレイスのばか!
クルッと後ろを向き出入り口の方へ駆け出す。
もう!しばらく許してあげないもん。どんなに謝ったって……許して……あげないんだから。
「リナ!」
温室から、あと1歩で出れるという所で手首をグレイスに掴まれる。
思いっきり振り払おうとしても男の力にかなうはずがない。そうしている内に後ろから抱き締められた。
しかもお腹に両手を回されたら逃げられない。
「ごめんリナ、顔見せてくれない?」
な、何よ、そんな甘い声で耳元で囁いても今回は怒っているんだから。
拒絶する意志を見せるために俯いたまま身動きせずにいるとグレイスの手が離れて行く。
すると、これ見よがしに大きな溜め息が耳に届く。
「今日は、ゆっくりお休み。舞踏会に戻るよ。もう少し挨拶してくるから」
離れた体に風が纏わりつく。離れて行く足音に鼓動が大きくなる。
怒らせた?……ムキになって拒絶したから。素直に言えば良かった。
グレイスとダンスを踊りたいって。言えば済んだ話なのに。グレイスに嫌な思いをさせてしまった。
子供っぽい自分が嫌になる。
「リナリア……この前決めただろ?グレイスに甘えると。口が聞けない分、別の方法で気持ちを伝えないとグレイスは、わからないぞ」
成り行きを見守っていたデイジーが足元までやって来ると、ちょこんと座り見上げてきた。
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