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だ、大丈夫よ。これでも上達したんだから。つかまっててよデイジー。
頬を膨らませ抗議したあと、足を動かす。
最初は ぎこちなく、しかし慣れてくるにつれ固さがなくなり軽やかに踊り出す。
「昔より上手くなったな。さすがはリナリアだ。覚えるのが早い」
ありがとうデイジー。努力したかいがあったわ。一番初めがデイジーって言うのが納得いかないけど。
軽口を叩くとデイジーが大声で笑い始めた。
「なら明日グレイスに謝って踊って貰うんだな。移り香くらい気にするな。グレイスはリナリアの元に戻って来ただろう?この時間に舞踏会抜けるのも大変だぞ」
……確かにその通りだわ。思ったより舞踏会終わるの早いなって思ってたもの。
抜け出して様子を見に来てくれたのね……それなのに私は最低ね。
「そんなに落ち込むな。グレイスなら笑って許してくれる。なにせ姉上達の審査を見事通った男だからな」
デイジーも認めてくれたものね。だからグレイスには優しいんでしょ?
前までは私に近付いて来る男性は勿論、女性にも警戒を怠ることはなかった。
それがグレイスには、とても甘い気がする。
「まあ……な。あの男なら問題ないだろう。一生リナリアの傍にいて守ってくれるよ。ほら……見てみろ」
何を見ろと言っているのかわからなかったけど、デイジーの視線を追うと、居なくなったと思ったグレイスが木によしかかりながら、こっちを見ていた。
「代わってくれますか?デイジー様」
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