月夜にダンスを

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ありがとう?……怒ってないの。 「嬉しいよ、素直に伝えてくれて。これからは今みたいに言いたいことを伝えて……自分で抱え込まないように」 頬に触れるグレイスの手は大きく安心させてくれる。 その手に自分の手を重ねる。 「リナ……誤解しているようだけど、この香はリナリアの姉上達だよ。5人の相手をするのも神経を使って肩が凝ったよ」 えっ……お姉様達? 思いがけない言葉に目を大きく見開くと私の反応がわかっていたかのようにグレイスが頷いた。 「リナリアが妬くから他の女性に触れさせないためだって姉上達が。おかげで僕は姉上目当ての男性達を敵に回したよ」 お姉様達ったら……私の考えが何でわかるの……もう、でも良かった。グレイス目当ての女性じゃなくて。 「安心した?」 思わず笑みを零すとグレイスから何かを含んだ問いかけが。 いつもなら恥ずかしくて逃げようと話を逸らすけど今は……違う。もう、あんな思いはしたくないから。 グレイスの首に手を回す。 ちょっと驚いたようなグレイスの顔。 でも次の瞬間何かを待っているかのように少し屈んでくれて腰に手を回される。 安心したわ……大好きよグレイス。 グレイスに伝わるように、唇を読めるように、ゆっくりと動かす。 次の瞬間、見たこともないグレイスの満ち足りた満足げな笑みが向けられると、こっちが恥ずかしくなる。
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