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頬に熱が集まるのを感じた。
スルリと片手を取られ腰に手を回される。
「リナリア様、踊って頂けますか?初めてのダンスを僕と――」
嫌だなんて言う訳がない。嬉しい……。
思いっきりグレイスに抱き付き頷いた。
「ああ……初めての相手はデイジー様だったね。それが不服かな」
茶目っ気たっぷりで笑うグレイスにつられて微笑む。
そして微かに聞こえてくる旋律に2人だけの宴が静かに始まる。
その2人の様子を満足げに見届けた黒猫は静かに傍を離れた。
その瞬間――満天の星空の下、2人の影が月の光に包まれるように重なりあった。
――この先の未来を信じ疑うことなく誓いをたてた2人の遠い記憶。
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