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少しだけ……期待した。
スカイが守ってくれるかも知れないと。穏やかな生活が送れるかも知れないと。
俯いて考え込んでいたリナリアの腕がいきなり強い力でつ掴まれ、有無を言わさずベッドへと投げられた。
な……に?
いきなりの仕打ちに頭が真っ白になる。
突然のことで動けないリナリアに、スカイが覆い被さって来た。
いや……だ。怖い。
怯えるリナリアを見下ろしながら面倒そうに抵抗していた両手を頭上で拘束した。
そして、言葉をかけることなく感情の読み取れない表情で細く白い首筋に顔を埋める。
わかってはいた……頭では。結婚することはどう言うことなのかを。でも何も言わずに乱暴にされるとは思ってもみなかった。
声を出せないリナリアは、懇願して止めて貰うことも出来ず涙を流しながら震えることしか出来なかった。
耐えていると、スカイの手が途中で止まる。
ギュッ――目を閉じ、涙で濡れた瞳を恐る恐る開くと、冷たく見下ろしているスカイの瞳とぶつかった。
「やっぱり無理……かな。お前みたいな女抱けない。趣味じゃないから」
震えながら泣いているリナリアから目を逸らし、ベッドからおり少し離れた場所にある長椅子へと腰掛ける。
「お姫様がこの国へ来た理由は?まあ……言わなくてもわかるけど。あの父王に逆らえなかったか……」
長椅子で足を優雅に組み、結婚式では見たことがなかった険しい表情を見せている。
まるで、そこに汚い物があるように。
「まさか、お前みたいのがいるとは知らなかった……シラーは5人姉妹だと思っていたから。シラーの名なら陛下達も納得するから言ってみたんだ……」
大きな溜め息を吐き、反応がないリナリアに侮蔑の表情を浮かべた。
「絶対に断ると思っていた。お前の姉達全員に婚約者がいると聞いていた。別に誰かが来ても構わなかった。全員美人だって噂で聞いてたからな……」
スカイが言いたいことがわかり、体の震えが止まらなかった。
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