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「んっ……ふっ……!?」
勿論そんな事をしていて起きないはずもなく、都の手が俺の体を押し返そうとしてきた。それに俺も理性を取り戻し、都から離れた。
都は少し涙目な真っ赤な顔で俺を睨んだ。まぁ睨んでも凄味なんかなくて、寧ろまた理性を切りそうな顔してるんだけどな。
「なっ……何してるの?何でこんな事するの!?」
その言葉にカチンときた俺は、本来謝らなければいけないものを、逆に怒りだしてしまった。
「何でって分かってるだろ!?都の事が好きだってずっと言ってるじゃないか!」
「だ……だって冗談だとばかり……」
「冗談で今俺が此処にいるかよ!
仕事を始めてから、都家に遊びに来なくなっただろ?姉貴が結婚してからは全くだ。俺がこの出版社に就職したのは、都の担当になる為だ。他の出版社なんてどうでもよかった。この出版社に受からなかったら意味なんて無かったから」
「……そんな馬鹿な理由で、就職決めないの」
呆れたような都の物言いに、俺もため息で返した。
「じゃあいい加減素直になってくれよ。俺の事、好きなんだろ?」
その言葉に、都の顔が真っ赤に染まった。
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