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そんな俺を、響が優しく抱き締めた。
「ごめんね。竜くんを苦しませるつもりじゃなかったんだ。
……ねぇ。シようか?」
返事代わりに、響を押し倒した。服を捲り上げ、肌を露にする。お互いの欲望をぶつけ合う。
俺は妹を、響も叶う事の無い想い人を想いながら。
決して心が満たされる事の無い、躰の熱を吐き出すだけの行為。それでも俺達には必要だった。これ以上大切な人を傷つけない為に。
「ねぇ竜くん。私達結婚しない?」
「……はぁっ!?」
行為の後のベッドの微睡みの中での響の言葉に、俺の睡魔は一瞬で飛んでいった。
「お互いイイ歳になってきたから、周りも心配しだすでしょ?だからってあの人以外に愛されて結婚なんて考えたくもない。
……でも竜くんならいい。一番私に近い人。絶対に私を愛さないでしょ?私も一緒。竜くんは好きだけど、愛したりはしない。そんな2人が結婚って、偽装結婚みたいで良くない?」
自分の傷を押し込んで無邪気な笑みで話す響。俺もつられて笑みが漏れた。
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