117人が本棚に入れています
本棚に追加
きっと俺達の関係は歪んでいる。でもこうする事で周りの人間は安心するし、俺達もお互いの気持ちを欲望と一緒に吐き出して、何とか自制心を保ってまともな人間でいられる。
響を愛してはいない。しかし好きではある。友人として、これ以上の存在は無いだろう。響となら一生を共に出来るかもしれない。同じ傷を背負いながら。
でも……
「「でも子供は作らない」」
俺と響の声が被った。思わず二人でにやけてしまった。
「私と竜くんは愛してはないんだから、その間に生まれちゃった子供は悲しいよね?」
「同感だ」
もしかしたら妹のお腹の子供は、俺の子かもしれない。でも、そうじゃなければいい。本当の両親の元で、沢山の愛情を受けて育って欲しい。こんな俺なんかの遺伝子を受け継がないで欲しい。
何て自分勝手な考えだと、吐き気がしてくる。
それが表情に出ていたのか、響がそっと俺を抱き締めた。
「竜くん、思ってる事を口にしたら?いつも眉間に皺寄せてばかり。
……私が懺悔、聞いてあげるよ?」
最初のコメントを投稿しよう!