4人が本棚に入れています
本棚に追加
「いつ撮られた写真かなぁ。僕の把握してるやつかなぁ」
「俺、そんなに撮られてるっけ?」
柊は楓の言葉に違和感を覚え聞き返した。
「知らないのは当然だよね。僕が売ってるから」
「ちょっと待とうか?楓ちゃん、今何つった?」
「あ、駅着いたよ!急ごうね柊ちゃん」
「あ、コラ!待て楓!!」
電車のドアが開いた瞬間、楓は凄い勢いで降りていき、柊はその後を追いかけエスカレーターの手前で奇妙な人影とすれ違った。
「さぁ、ショータイムだよ。真田 柊君」
柊は反射的に声のした方に振り向いた。
が、すでにそこには声をかけたと思われる人影はなく、立ち尽くしている柊を邪魔そうに見ている人達がいただけだった。
「柊、どうしたの?」
「………」
「柊ってば!!」
「えっ?あ、ごめん」
柊は楓が近くにいる事すら気付かず辺りを見ていた。
誰なのか分からない。知り合いの声にも似ていない。分からない事が不安を呼ぶ。不安はマイナスな方に思考が陥りやすい。
不意に手に暖かい感触があり確認すると楓の手が握られていた。
「大丈夫?何かあった?」
「うん…」
「ちょっと、休んでから行く?」
一人だと確実に混乱していたと柊は思った。
最初のコメントを投稿しよう!