第一章

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「いつ撮られた写真かなぁ。僕の把握してるやつかなぁ」 「俺、そんなに撮られてるっけ?」  柊は楓の言葉に違和感を覚え聞き返した。 「知らないのは当然だよね。僕が売ってるから」 「ちょっと待とうか?楓ちゃん、今何つった?」 「あ、駅着いたよ!急ごうね柊ちゃん」 「あ、コラ!待て楓!!」  電車のドアが開いた瞬間、楓は凄い勢いで降りていき、柊はその後を追いかけエスカレーターの手前で奇妙な人影とすれ違った。 「さぁ、ショータイムだよ。真田 柊君」  柊は反射的に声のした方に振り向いた。  が、すでにそこには声をかけたと思われる人影はなく、立ち尽くしている柊を邪魔そうに見ている人達がいただけだった。 「柊、どうしたの?」 「………」 「柊ってば!!」 「えっ?あ、ごめん」  柊は楓が近くにいる事すら気付かず辺りを見ていた。  誰なのか分からない。知り合いの声にも似ていない。分からない事が不安を呼ぶ。不安はマイナスな方に思考が陥りやすい。  不意に手に暖かい感触があり確認すると楓の手が握られていた。 「大丈夫?何かあった?」 「うん…」 「ちょっと、休んでから行く?」  一人だと確実に混乱していたと柊は思った。
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