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「さぁ、ショータイムだ」
闇夜に浮かぶタキシードとコートはまるでどこかの紳士の様。頭のシルクハットは大きく少女の顔を隠している。右手にはステッキを持っており、その先は鋭く尖った形状をしている。
それをズルリと突き刺していた女の子から引き抜くと先端の血を払い、通常のステッキに戻した。
「これまでは単なるリハーサル。これからわたくしが思い描いたショーが始まるのだよ」
誰も聞いている人間などいない。刺された女の子はすでに悲鳴をあげる事すらなくなっている。
「観客は必要ない。裏方の人間の出番はもう終わった。演出はわたくしが行う」
少女は暗い闇夜で話し続ける。
「主役もわたくし。相手役は貴方。貴方を誘き出す為の小道具を残してわたくしは一旦袖に引こう」
そういうと少女は胸ポケットから一枚の写真を取り出した。
「小道具は大道具と共に置くべきか…。それとも背景に置くべきか…」
少女は楽しそうに赤く染まった地面の上を舞う。
蝶の様に綺麗に舞っていた、次の瞬間小型ナイフを取り出すと女の子の胸に深々と突き刺した。
鮮血は舞う事なく、小型ナイフは初めから胸にあったのかと思える様な存在感を放っていた。
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