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柊は胸ポケットに入れていた携帯を取り出すと優那に電話をし始め、5コール目の途中で返事があった。
「柊、おはようさん。朝早くから悪いな」
「おはよう、優兄。大丈夫だけど何かあった?」
「あぁ、ちょっとな。聞きたい事があるんだが…」
「?何?」
兄の様子が普段と違っている事に気が付いた柊は、言い知れぬ不安に襲われた。
「お前、Black Gentlmanと面識はないよな?」
「ないよ?」
突然何を言い出すかと思えば、有り得ない事を優那は言い放った。
「なら、安並杏子ちゃんって中1の子を知っているか?」
「安並、杏子…。確か空手で一緒の子だと思うけど、それが?」
柊は小さい頃から空手を習っており、近くの道場で週5日通っている。
安並杏子はそこに通う後輩で、元気で、明るく、活発なまさにスポーツ少女との印象が強く残った女の子だった。
「Black Gentlemanに殺された」
「……は?」
柊は声を失った。安並杏子とは直接的なものでいえば挨拶を交わすぐらいの仲だが、それでも顔見知りが殺されたのだ。一気に血の気が引く様な、貧血で立つ事が出来ない時の様な何とも言えない感覚に陥った。
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