*第1章*

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バタンッ!!! 「由美ちゃん!引っ越しするわよ!」 夕方、仕事から帰ってきて早々、母が叫ぶ。 「…お母さん。ドアは静かに開けてっていつもいってるでしょ?それに、靴は脱いできて」 冷ややかな眼差しで冷静に注意する。 気が先行したのか、母は靴をはいたままだった。 「あら!ごめんごめん!急いでたから忘れちゃったわー!」 ばたばたと走って玄関まで戻り、リビングに戻り、椅子に腰掛ける。 「にしても相変わらずテンション低いなぁー、由美ちゃんはー」 由美の母"平沢 ひかり"は年のわりに少し子供っぽい。高校生にしては大人びた所のある由美とは似ても似つかない。 「そんな冗談、信じるわけないじゃない。今まで何回騙されてると思ってるの?」 今までされてきた冗談や嘘を思い出し、深い溜め息をはく。
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