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「「「ただいま」」」
と、三人の子どもたちの声が響く。
ここは外と違って暖かい。僕が産まれた時に少しだけいた場所に似ている。
「お帰りなさい」
そう言って現れたのは、長く綺麗な黒髪が特徴的な大人の女性。
「あら……その子猫――――」
その女性が言い終わるか否や、女の子が被せる様に言葉を紡ぎ出す。
「ママぁ。猫ちゃんがね。寒いって……。可哀想だったから、連れて来ちゃったの……ごめんなさい」
しょんぼりと項垂れる女の子。
「あらあら。そうなの。でも、確かに酷く震えてるわね」
「あのね……ママ。飼っちゃ……ダメ?」
「それはパパに聞いてみないと解らないわね。でも、そのまま外に出すのも可哀想だし、とりあえずは雨が止むまでお世話して上げましょう」
パッーと女の子の顔が明るくなる。
「猫ちゃん! よかったね!」
と言って、苦しいくらいに僕を抱きしめた。
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