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ミルクを飲み終えると、お母さんは買い物に出掛けて行った。
残されたのは三人の子どもたちだけ。
果てさて……優也くんはまだしも、花純ちゃんと純くんに凄くいじられそうで恐い……
が、その心配は無用だった。
三人、輪になって本を囲んでいる。
優也くんが真ん中で、よく通る声でその本を朗読している。
純くんはそれに夢中。けれど、花純ちゃんはちらちらと僕を見てくる。
なんですか?
と鳴いて尋ねてみた。
すると花純ちゃんが僕に寄って来て、優しく頭を撫でてくる。
「もう少しでね。パパが帰って来るの。パパがダメ! って言ったらね、猫ちゃんとバイバイしなくちゃいけないって、ママが言ってるの……」
泣きそうな声で花純ちゃんがそう言う。
「でもね! パパもママも優しいんだよ! パパは花純を高い高いしてくれるし、ママは食べたいって言ってくれたものを作ってくれるし、とっても優しいんだよ!」
そうだね。優也くんも純くんも花純ちゃんも優しいから、みんな優しいんだろうね。
僕はそう言った。
「猫ちゃんとずっと一緒」
不安気な表情でそう言って、花純ちゃんは僕を抱きしめた。
そして、しばらくするとすやすやと眠り始めてしまった。
あったかい。あったかいなぁー。
正直僕も物凄く不安だったけども、花純ちゃんたちのお父さんを信じて、今は眠ることにした。
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