34人が本棚に入れています
本棚に追加
「花純。花純」
と、聞いたことがない声がして僕は目覚めた。
花純ちゃんも同じく目が覚めたらしく、少し寝惚けた声で
「パパぁ?」
と口にする。
この人がお父さん! そう思うと僕はいつも曲げてる背中をピンッ! と自然に立てた。
「パパ~。お帰りなさい」
「ああ。ただいま」
ポンポンと、お父さんは花純ちゃんの頭を優しく撫でる。
すると、花純ちゃんは漸く頭が回ってきたのか、急に早口になって
「パパ! あのね! 猫ちゃん拾ってきたの!」
と口にする。
お父さんは、柔らかく微笑んだ後に、唇を震わせる。
「ああ。お母さんと優也と純から聞いたよ」
「パパ! 花純ね! 猫ちゃんと一緒にいたいの! ……ダメ?」
再び花純ちゃんの頭をポンポンと撫でるお父さん。
「優也と純もこの子猫を飼いたいって言ったよ。でもな花純。ちゃんとお世話出来るのか?」
「うん! 花純頑張る!」
「毎日餌をやったり、あとはトイレを作って、そこでちゃんとおしっことかうんちをさせることも教えるんだぞ? あと、猫は自分でトイレの掃除は出来ないから、花純が汚くなる前にトイレを掃除しなくちゃいけない。その他にもいっぱいすることがある。それでもちゃんと出来るって言えるか?」
泣きそうな顔になる花純ちゃん。
花純ちゃん……無理しなくていいんだよ?
と僕は言う。
花純ちゃんは僕を見た。
最初のコメントを投稿しよう!