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爆弾魔と能力者
「だぁぁあ!無理!も、無理!」
精神統一の際、由紀が突然叫びだした。
「寮だのなんだのはわかった!……が、訓練ってなんだよ!」
「訓練は心身共に鍛え、能力の安定には必要なんだよ。
見てみろ。帝はぴくりとも動かんで精神統一してるぞ」
目をやると、広間のすみに座禅を組み
凛と座る帝。
その姿はまさしく
「ぼーさんみて~…」
「ま、座禅だしな」
と寅さんが言うとパチリと目を開けて帝は立ち上がった。
「なに見てる。自分の力を多少は操れるようになったのか?
いつまでたっても捜査に行けそうにないが」
由紀に言うと、近くにあった竹刀を手にとった。
「おっ…竹刀じゃんっ」
それを見ていた由紀は竹刀を手に取り、
ちょいちょい と
帝をつついた。
「何を「ちょっと構ってよ」
「………は?」
「俺、剣道部なんだよね」
「だから相手をしろと」
ハァ、とため息をつく帝に、寅さんが楽しげに話しかける。
「やってやれよ。帝」
「と…寅さんまで何をッ…」
「お前に負けりゃ、訓練に多少はやる気を出すだろ」
「俺を道具にするなッ…」
にやり、と寅さんは後ろで笑った。
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