01、呼んだけどお呼びでない

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「我慢出来ん、割る割る割る!」 そう自分に言い聞かせ卵を持って部屋を出る。 未知の物質で出来ていて恐ろしく硬い可能性を考慮し、金槌を引っ張り出した。 というより素手で割りたくない。 未知のぬるぬるした液が手に付いたらと考えただけで虫酸が走り回る。既知のぬるぬるした液でさえ気持ち悪いのに。 更に、割った途端小さな虫がわらわらと湧いてくる可能性を考慮し外へ。 むう、この調子で色々考えてしまうと好奇心よりも割った時のデメリットが頭を占拠しそうだ。心頭滅却心頭滅却。 金槌と卵を両手に持って歩いている絵はなかなかシュールだろう。危ない化学者か、恐ろしく非力なの?と思われること請け合いだ。 三分ほど歩き近所の人気がまるで無い公園へ。 相変わらず薄気味悪い。今日の荒波のような雲、略して荒雲が更に雰囲気を暗くさせる。 まあ何が起きても騒ぎになる心配が無くて良い。知らぬ存ぜぬで通せる。 「さあ割るぞ、ええ割りますともええ!!」
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