01、呼んだけどお呼びでない

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その後さんざっぱら独自の方向からの会話を延々として美久は帰った。 わざわざ窓から帰るところが馬鹿丸出しである。犬かあいつは。 そういえば雨は降っていなかったな。荒波のような雲のままだ。 「ベントラーベントラー、ねぇ」 小さく呟いた。 「来るならリトルグレイじゃなく人型がいいな」 俺とて高校三年生。時には頭がファンタスティックになることもあるだろう。 非現実的なことを呟いてもおかしくはないさ。そう俺はおかしくない。 一人で見えない誰かに弁解をしている最中目の前に閃光が走った。 「スタングレネードか!?」 まだ頭にファンタスティック要素が残っていた。 白、白、白。 全く何も見えない。ここまで何も見えないと俺はこれからも何も見えないのではないかと不安に陥る。 数秒か数十秒か、とにかく頭からファンタスティック要素が消え、冷静になるだけの時間をくれた後、目はいつもの部屋を捉えた。 見慣れぬ物を残して。
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