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「らいっ‥!っ‥らいぃっ!」
「 」
「わかんないよっ‥!雷っ」
「 」
どんどん過ぎて行く時
離れていく電車
もう雷の姿は見えなくて、見えるのは雪景色だけだった。
体に力が入らない。
ドアにもたれて、そのまま背中で滑るようにしゃがみ込んだ。
「っふっ‥らっ、らいっ‥!
うわぁぁぁぁあ!」
人目なんか気にしてる場合じゃなく、ただ単に感情をぶつけた。
何かにとりつかれたように泣き続けた俺の元に、小さい女の子が近づいて来た。
「どうしてないてるの?」
「‥っ、」
「おにいさんも、びょうき?」
「病気‥?」
そう、わたしびょうきなの
小さな女の子はそう言って、被っていた帽子をとった。
その女の子の姿に、言葉が出てこ出なかった。
「か、‥髪が‥、」
「うん。ガンなんだって。
でもね、わたしがんばるよ!」
こんな小さい子が癌に立ち向かおうとしてるのに、
俺は恋人に会えないからって‥
なんか、情けなすぎて
また涙が零れた。
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