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「ごめんね、‥忘れて!」
そう言って、涙を拭きながら笑った緑の手に
自分の手を伸ばして重ねた。
なんでそうしたかは分からない。
なぜか少し怖くなって、安心を得たかったからかもしれない
でも緑は予想外な俺の行動にびっくりして、
口は開いたまま、おまけに鼻水は垂れるというオプション付きだった。
「汚い」
「え、‥あ、ごめん!拭く!」
「ん」
慌てて謝る緑に、ティッシュの箱を渡した。
その時、なぜか一生懸命に鼻をかむ緑が愛おしく思った
だけど俺は、炎さんみたく単純じゃない上に自分のことを理解してるつもりなわけで。
その愛しさは、恋とイコールするものではないことは確信めいていた
緑の手を握ったまま、
俺の思いを伝えるべく、話し出した。
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