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山本勘助は、今川義元に仕官を申し込んでいたが、片目が潰れ、足が不自由な勘助を見るや不快な顔をして、推挙人の庵原安房守を見て
「返事は、庵原安房守に致す故、下がって待つが良い」
と言い、ろくに勘助の話しも聞かずに追い立てた。
勘助は、庵原家に戻り安房守の帰りを待ち、仕官が叶わなかった事を聞かされた。
庵原安房守は、武田信玄宛に勘助の紹介状を書いて渡した。
「此れを持って、板垣信方を訪ねると良かろう、力に成れなくて済まなかった」
庵原安房守は、勘助に詫びた。
勘助は、そのまま武田信玄が居る甲斐に向けて足を進めた。
途中、喉の渇きを覚え川に下ろうとした勘助は、子供等の喧嘩に出くわした。
村の子供等の縄張り争いの喧嘩らしかった。勘助は、何気無しにその様子を川に下る途中の草はらに座り眺めていた。
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