クリスマスの主張

5/8
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
想像してみたまえ。好意をよせる女性の前で、特にそれほど興味もない女性の前で、とにかく最後の手段として、女であることが唯一の救いであるような女性の前で、美麗でウィットが効いた心地よく鼓膜をくすぐる言葉を並べ立てる様子を! どうだ? どうだ? 気持ち悪いだろう? ん? 気持ち悪いだろう! そうだ、そうなのだ! それが普通の感覚だ! それが人間として、高度な知性を備えた生命体としてあるべき反応なのだ! 馬鹿げている! たかだか1日、他のアベック共と同じ時間に、隣の部屋のアベックと競い合うように行為に及ぶことで、なぜだか世の中の全ての幸せを手に入れられるかのように言いやがる。そして現に奴らはサンタクロースも寝静まり、空が白み始めたころに、まるで世の中は奇跡に満ち溢れている、こんなすばらしい世界があるだろうか、なんて、本気で考えているんだ。心の底からだ! 腐ってやがる! どこの世界に、どこの知的生命体の文明に、大多数の同属と一緒に腰を振る瞬間が幸福だとする理屈があるんだ!
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!