37人が本棚に入れています
本棚に追加
暖かい陽が
川を
きらきらと照らす。
水の流れと
風の力で、
水面は
金粉を撒かれたように
まぶしく輝いている。
目をふせたくなるほど
まぶしい
まぶしい
黄金色の川を眺めながら
河川敷の階段に座り、
あーかと
くろえは
フライドチキンに
かぶりつく。
「ねぇ、
ケチャップちょうだいよ。」
油まみれのくちびるで、
あーかが言った。
「ないよ、
ケチャップなんて。」
「うそだぁ!
あるよぉっ!
ポテトにいつも
つけてくれるもん!」
「入ってないよ、
ほら。」
子供のように
ぐずぐずと
ケチャップをねだる
あーかの目の前で、
くろえは
チキンや
ポテトや
飲み物が入っていた紙袋たちを
逆さまにして
振ってみせた。
「ね?」
「ホントだぁ…。
もうあの店
二度と行かないっ。」
「あんたにとって
ケチャップの存在
どれだけ
でかいわけ?」
「大事よ、
ケチャップは。」
答えになっていない答えに
自分自身で
深くうなづきながら、
あーかは
チキンの骨を
犬のように
がじがじとかじり、
細かい身まで
摂取していった。
最初のコメントを投稿しよう!