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「くろえ、
人間って生き物は
残酷だよね。」
きれいに身が取り除かれた
細い鶏の骨を
弄び、
見つめながら
あーかは言った。
「何?
突然。」
「だってほら、
見てよ。」
あーかは
己がしゃぶりついた
鶏の骨を
くろえの目の前に
差し出してみせた。
くろえの中で、
あーかの言葉と
その行動が
いまいち結びつかず、
「…ん?」
という
苦しい返事がもれた。
「この鶏の骨は、
生ゴミとして
処理されちゃうんだよ。」
あーかが
さっきまで
がつがつと
チキンにかじりついていた姿と、
今現在の
泣き出しそうなほどに
チキンの骨の
行く末を哀れんでいる
表情のギャップに
くろえはついに
笑いを堪えられなくなって
吹き出してしまった。
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