不正

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桐谷さんは独身だけど、金銭的に大変な事情もあるらしく、社員になれるのであれば、桐谷さんにとってとても望ましい事なようだ。     だけど、そういう話を私は社長から聞いていなかったから、桐谷さんへの指導も尾沢さんや高川さんと同じようにするもんだと思っていたのだ。     『でも、いいの…?受付覚えないでお客様の応対ができるの?』       このあたりから、私は桐谷さんや社長との意見に食い違いが出るようになった。     しかも私はこの時、精神的な面で不安定になっていたから、随分深刻に考えさせられた。     「社長もそういう事を先に話してくれたら良かったのに」   少し怒りっぽく、でも笑いながら桐谷さんに話す。   桐谷さんもそれに返してきた。   「本当は面接の時、社長には「みんなには言わないように」言われていたので…」     私はあと約2ヶ月だけの勤務だからか、桐谷さんは私には話してきたのかも知れない。   そう思って、私も周りには言わないでいた。     私の妊娠の話は、尾沢さんや高川さんから桐谷さんへすぐ伝わったけど(笑)
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