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静子、席をたつ。
静子 そんなわけないでしょ!
澤村 ですから、私は何も知らないんです。
静子 分かりました。直接、この女に聞けばいいんだわ。
静子、足早に奥へ急ぐ。
澤村 あの、ちょっと・・・・。
澤村、ため息。
鈴木 おかみさん、昔はあんなんじゃなかったんだけどなぁ。
中村 (澤村に)大変ですね。あなたも貧乏くじを引いたらしい。
澤村 まいったなぁ。
鈴木 ねぇ、中村さん、女はみんなあーなっちゃうもんなのかな、俺んとこだけはあーなって欲しくないね。
中村 同感だね。
澤村 あの・・・・失礼ですが、○○プロダクションの中村様ですか?
中村 そうですが、なにか?
澤村 杉森先生からこれを。(カバンの中から茶封筒を取り出し)中村様にお渡しするようにと。
中村 (受け取る)。
澤村 申し遅れました。私(名刺を取り出し)こういうものです。
鈴木 弁護士さん。へぇ・・・・で、その弁護士先生が何でこんなとこに。
澤村 実は生前の杉森信盛先生にこの場でそれを中村様にお渡しするように仰せつかったわけでして。
中村 これを?私に?・・・・(中身を取り出して)あっ。
鈴木 原稿じゃない。
中村 よかった。これでチケット回収しなくてすむよ。
鈴木 顔がにやけてるよ。
中村、緩んだ顔を厳しい顔にする。
澤村 それでですね、実は原稿の最後なんですけど・・・・。
中村 最後?原稿の?(原稿を確認していたが)あれ?
鈴木 ?
中村 ここ空白なんだよ。あれ?
鈴木 ・・・・最後の台詞だね。・・・・あっ、ここに何か書いてある。
中村、鈴木、原稿を覗き込む。
中村、どんどん険しくなる。
鈴木、なんだか可笑しい。
中村、鈴木、澤村の方を見る。
中村 澤村さん?
澤村 はい?
鈴木 あんた、このこと知ってたんでしょ?
澤村 そこに書かれた言葉もですね、生前の先生のご意志でして・・・・
中村 なんでもっと早く渡してくれなかったんですか!
澤村 私はこの時間にこの場所で渡すようにと先生の遺言を執行したまでで・・・・
中村、鈴木に泣きを入れるように。
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