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中村 鈴木ちゃん!
鈴木 やだよ!
中村 そんなこと言わずにさぁ。
澤村 私からもお願いします。
中村 (澤村に)あんた、関係ないでしょ。
澤村 そうでもないんです。
中村 どんな関係があるっていうの?え?
澤村 民法1006条遺言執行者の指定を私が故人である杉森先生から、直々に・・・・
中村 いいや、そんな難しい話は・・・・。ねぇ(鈴木に)。
鈴木 ぜったいいやだよ。
中村 あんた、さっきなんて言った?
鈴木 さっき?
中村 『嘘でもホンでっち上げる』ってそう言っただろう?
鈴木 知らないよ。そんなこと。
中村 何もホンをでっちあげろだなんて、言ってないでしょ。ここんとこのさぁ、台詞をちょちょと・・・・。
鈴木 だから、できないって。
中村 だって、あんた弟子だろ?杉森信盛の。
鈴木 そうだよ。だけど、なんで最後の台詞、俺が書かないといけないの?
中村 それは先生が望んでることで・・・・
鈴木 ちょっと待ってよ。遺作だよ。天下の杉森信盛の遺作のしかも最後の台詞だよ。できないよ。いくら、師匠の遺言でも俺はいやだ。それもこう書いてある。(中村から原稿をとると)
『この〆の台詞。我が弟子達なら、師匠である私よりも素晴らしいもので飾るだろう。我が身が骨となる一瞬をもって、名台詞が生まれない場合、この作品はこの世に存在しないものとする』そんなばかなこと、なんで俺がしなきゃいけないんだよ。(中村の原稿を突っ返す)
中村 じゃあ、どうしたらいいの?
鈴木 おっさんらしいけどね。まぁ、俺にはそんなの身が重すぎるよ。そんなもんいっそのこと無視しちゃえばいいんだよ。初日までに中村さんが考えたらいいんだよ。
中村 そんなことしてみろ?枕もとに立たれるよ。
澤村、懐から何か証書を取り出し、蒼い顔をする。
中村、ため息。とぼとぼと歩くと順子のいるソファに座る。
中村、ため息。
中村 (順子に)あの。
順子 何か?
中村 お話、聞こえてました?
順子 えぇ。まぁ・・・・。
中村 お願いできますか?
順子 できません。
中村 ・・・・あなたも弟子なんでしょ?
順子 弟子でアレなんでアレ、できないものはできません。
中村 どうしても?
順子 えぇ。
中村 だって、あなた今や売れっ子なんだから、ちょちょっと・・・・。
順子 (目で威圧する)・・・・。
中村 できませんか・・・・やっぱり。
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