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「神話でも作るつもりですか?」
スピカは、前方に注意しながら、歩く。先行くソラは、散歩でもするような歩みだった。
「神話? 二千の軍勢をひとりで潰すと神話ができるんだ?」
ソラは、答えるだけで振り向かない。スピカは、そのあとを溜息混じりに追い掛ける。
「一応、隊長は神様なので、隊や団体を消すと神話が生まれてしまうんですよ」
「俺は神様じゃないし。二千程度で神話になっても嬉しくない」
「やっぱり、止めましょう。二千ですよ。考え直しませんか」
オラセルは、騎馬隊だ。弓にも卓越者が揃っているらしい。ソラならば、かい潜ることも出来そうだが、スピカには途方も無い難関だった。
「副。神官領域戦よりも、話に聞いたデアモス戦よりも遥かに楽だと思うぞ。この一戦」
ソラが、立ち止まる。スピカには何が楽かさっぱりわからない。
「デアモスの主力争いの時は、敵を騙すことで精一杯でした。マナさん救出の時だって同じでしたし、半年前は死にかけでしたから」
「半年前は、神官が小数精鋭で乗り込んで来たっけ。けど、マナを助けた時は島と同じくらいの人数を敵に回していたんだ」
ソラは、相変わらず楽しそうに喋る。性格から来るものなのかと、スピカは、今度は周囲を見渡して思う。
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