Stage1

4/12
前へ
/545ページ
次へ
「神話でも作るつもりですか?」  スピカは、前方に注意しながら、歩く。先行くソラは、散歩でもするような歩みだった。 「神話? 二千の軍勢をひとりで潰すと神話ができるんだ?」  ソラは、答えるだけで振り向かない。スピカは、そのあとを溜息混じりに追い掛ける。 「一応、隊長は神様なので、隊や団体を消すと神話が生まれてしまうんですよ」 「俺は神様じゃないし。二千程度で神話になっても嬉しくない」 「やっぱり、止めましょう。二千ですよ。考え直しませんか」  オラセルは、騎馬隊だ。弓にも卓越者が揃っているらしい。ソラならば、かい潜ることも出来そうだが、スピカには途方も無い難関だった。 「副。神官領域戦よりも、話に聞いたデアモス戦よりも遥かに楽だと思うぞ。この一戦」  ソラが、立ち止まる。スピカには何が楽かさっぱりわからない。 「デアモスの主力争いの時は、敵を騙すことで精一杯でした。マナさん救出の時だって同じでしたし、半年前は死にかけでしたから」 「半年前は、神官が小数精鋭で乗り込んで来たっけ。けど、マナを助けた時は島と同じくらいの人数を敵に回していたんだ」  ソラは、相変わらず楽しそうに喋る。性格から来るものなのかと、スピカは、今度は周囲を見渡して思う。
/545ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加