Stage1

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 ウイルド平野が、前方に広がる。見渡す限り、枯れた草しかない。  平野と言うだけあって、見渡しはとにかく良い。  空は、快晴だ。風は冷たく吹き荒れる。そんな場所に、スピカとソラは居る。  二人は、それだけ広く平な場所で、敵である神官団体オラセルを待っていた。ところが、待てど暮らせどオラセルはやって来ない。二人とも、情報がガセではないかと何度か溜息を吐いた。 「隊長。引き上げて、第三砦に向かいませんか?」  スピカが、根を上げて立ち上がる。結界で四方を区切って壁を創り、風や寒さを凌いでいる。その天井が少し低いため、スピカは頭をぶつけて呻いた。 「どうせ移動するなら、迎えに行こう。この先に街もあるんだろ?」  ソラが、笑いながら胡座を掻き直す。 「街はありますが、神官領域です。あまり近寄りたくはありません」  神官と政府は仲が悪い。世界でたったひとりの黄眼黄髪のソラは、神様として扱われるが、政府軍のスピカは、そうは行かない。神官領域に踏み込んだら、最期、命の保証はないだろう。  スピカは、結界を解いて呆れた。風が、二人に突き刺さる。ウイルド平野は、冬だった。雪は、まだ降らない。
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