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おそらく、石を投げつけた後に走って掴みかかったのだろう。沙樹は嫌われた訳でない事に安堵しながら、茜の後ろについた。
「あんた、何見てた?」
茜が睨むようにして、男子生徒を見る。
見てた。
その言葉に疑問を抱き、沙樹は茜に聞いた。
「見てたって…。」
「大方、女生徒の下着覗き見目当てか、ストーカーか、私の弱みを握りに来たんだろうな。」
茜はすっかり戦意喪失した男子生徒の襟を離した。座り込んだ男子生徒の頭真横に右足を入れた。
「さあ、話せ。目的は?」
男子生徒はガタガタしながら無駄な後退りをしていた。フェンスで後ろは行け無いのに。
そのせいか、ポケットから手帳のような物が丸見えだ。
「なによ、これ。」
茜はそれを引き抜くと、付箋紙が貼られたページを開く。
"中島 茜の事項"と掛かれている。次のページからはここ最近の事がびっしり書かれていた。
もう一つの付箋紙には沙樹の名前。
「あんた、やっぱりストーカーか!」
「ち、違う!」
「何が違うの!ワケを説明してワケを!」
「俺は頼まれただけだ!」
「それをストーカーって言うのよ!」
再び襟を掴んで担ぎ上げる。
と、その時。
「あの…ちょっと良いかしら?」
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