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これまた黒髪のセミに細めた目、いかにも大人な雰囲気を持った女生徒が話し掛けてきた。
「誰よ、あんた。」
茜は敵対心丸出しで女生徒に突っかかる。だが、女生徒は怯みもせずに男子生徒を指差した。
「ああ、これ?」
「ごめんなさい、ウチの子なの。」
生徒会のね、と付け加えた。
この学校の生徒会は力がある。校則にも書かれているから理事長が決めたようだ。行事やイベントの発案から、生徒の弁護まで。
一教師と変わらないかそれより上の権力を持つ。勿論、理事長が決めた事だから校長はこれの放棄ができない。
無論、生徒会にもそれなりの制約があるのだが、知れ渡っていないので勝手に出来るものと勘違いする者も少なくない。
ので、生徒会に逆らえば何されるか分からないという噂がある。
沙樹の頭にヤバいという単語が響き渡る。だが、思考でも茜を責めないのは沙樹らしい。
「ウチの会長の指示みたいね。私から謝るわ。ごめんなさい。」
女生徒は深く頭を下げた。こんなに誠意のある謝罪は茜には初めてだった。
「…分かったわよ。」
ぱっ、と手を離す。男子生徒は足早に女生徒の後ろに回り込む。
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