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「と、言う訳だな!茜くん!」
「五月蝿いわよ。食べる時ぐらい静かにしたら?」
銀髪の少女、中島 茜は向かいの少女から少し離れ、空を飛ぶご飯粒から弁当箱を非難させる。
入学式からこの一年間で茜に唯一できた友達だ。名は橘 沙樹。
腰まであるストレートの茶髪に同色の瞳。いかにも人の良さそうな子である。
「おおっと、ごめんよぅ。」
沙樹はポケットからティッシュを取り出すと、机に飛ばしたご飯粒を拭き取った。こんなやり取りは日常茶飯事。
これでも二人は大親友なのだ。少なくとも沙樹はそう思っている。
茜はどうかは分かりづらい。分かるのは文句を言わずに居ると言うことは少なくとも嫌いではない、と言うこと。
「そういえばさ。」
「ん?」
釣り上がった目で沙樹を見る。別に睨んでるわけじゃない。単に目つきが悪いだけだ。
「今日はお友達は出来たかい?」
「出来るわけ無いじゃない。」
そう言いながら唐揚げをパクリと一口。これは困りものだ。クラスが一瞬で面倒見れるとはいえ、クラスに馴染ませないと。
彼女が孤立しているのにはこんな話が何個かある。この話は最近のだ。
一年生の時の学園祭は茜が料理上手なせいで、男子から好評過ぎた。それに嫉妬したとある女子が、本番当日に調味料をすり替える嫌がらせをしたのだ。
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