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脅迫状、架空請求、悪口のメモ、呪いの手紙など。
それらを両手で抱えるように持つと、家に入った。それら全てをシュレーダーにかけて、ソファに倒れ込んだ。
「マグロ…傷んじゃう…。」
ゆっくり体を持ち上げ、ビニール袋ごと冷蔵庫に入れた。ついでに制服を脱ぎ、私服に着替える。
適当な靴を履くと、音楽プレーヤーを手に持って外に出た。
耳に付けたイヤホンから軽快な音楽が流れる。勿論、陰口対策である。
とは言っても、河川敷に着けばイヤホンは外して芝生に寝転がる。
草野球のボールを打ち返す音やゴルフ練習場から聞こえる機械音。人々の笑い声。
全部がBGMになる。
だが、一つ不愉快な音がした。バシャンっと重い物が水に落ちる音。
「…何事?」
そう思って居ると、近くの橋に次々と人が集まっている。その場所に近づくと、話が聞こえてきた。
「子供が流されてるぞ!」
「早く救急車と助けを呼べ!」
「それより早く助けに行かなきゃ!」
「ここの川の流れは速いのよ!?あそこに行く前に流されるわ!」
様々な声がする。話を聞く限りは川の真ん中辺りに子供が居る。茜は上着を脱ぐと、音楽プレーヤーを繰るんで橋の脇に置くと、橋の反対側の縁から川を覗き込んだ。
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