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四月の半ば。
桜も満開から右肩下がりになろうかと悩んでいる時期。茜はその桜を見ながら学校に向かって歩いていた。
「ふぁーあ…ふぃきっし!!」
欠伸からくしゃみというコンボをすると、鼻を啜った。それを見ていた沙樹がポケットティッシュを差し出す。
「あーあ、女の子が大声でくしゃみなんてみっともないよ?」
茜はポケットティッシュを受け取り鼻を咬んだ。
「私なんかに幻滅する子なんて今更居ないわよ。」
「でも茜に憧れる男子とか…。」
「居たら明日は槍が降るわ。」
ポケットティッシュを返しながら礼を言う。沙樹はそれを受け取りながら溜め息をついた。
「…いい加減怒るわよ。」
「へ?」
急に茜の声が低くなった。茜の怒ってる時の癖だ。
「毎度毎度しつこいのよ。いい加減引っ付いてくるの止めて。」
茜は手短の石ころを拾うとゆっくりコッチを向いた。間違い無く怒ってる。
「あの…茜さん?」
茜は急に腕を振るった。まるで捕手がランナーを刺すような投げ方。
「ひえっ!」
沙樹はとっさに目を瞑ったが、一向に当たる気配がない。ゆっくり目を開けると、いつの間にか茜が同じ学校の男子生徒を胸ぐら掴んでキレていた。額にたんこぶあるあたり、彼に投げたのだろう。
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