第二話 希望

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四月の半ば。 桜も満開から右肩下がりになろうかと悩んでいる時期。茜はその桜を見ながら学校に向かって歩いていた。 「ふぁーあ…ふぃきっし!!」 欠伸からくしゃみというコンボをすると、鼻を啜った。それを見ていた沙樹がポケットティッシュを差し出す。 「あーあ、女の子が大声でくしゃみなんてみっともないよ?」 茜はポケットティッシュを受け取り鼻を咬んだ。 「私なんかに幻滅する子なんて今更居ないわよ。」 「でも茜に憧れる男子とか…。」 「居たら明日は槍が降るわ。」 ポケットティッシュを返しながら礼を言う。沙樹はそれを受け取りながら溜め息をついた。 「…いい加減怒るわよ。」 「へ?」 急に茜の声が低くなった。茜の怒ってる時の癖だ。 「毎度毎度しつこいのよ。いい加減引っ付いてくるの止めて。」 茜は手短の石ころを拾うとゆっくりコッチを向いた。間違い無く怒ってる。 「あの…茜さん?」 茜は急に腕を振るった。まるで捕手がランナーを刺すような投げ方。 「ひえっ!」 沙樹はとっさに目を瞑ったが、一向に当たる気配がない。ゆっくり目を開けると、いつの間にか茜が同じ学校の男子生徒を胸ぐら掴んでキレていた。額にたんこぶあるあたり、彼に投げたのだろう。
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