01:紅い喧嘩師

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魔界。 あらゆる異形のものが住まう世界。 時空軸にすると日本に位置するこの世界は 極寒だったり異常だったりする点を抜かせば 日本のような多文化な世界だった。 帝王が治める治安が一番よい街、帝都。 ここが僕の暮らす街だ。 正直悪魔は悪さをするのが仕事というけれどここの帝都は違う。 どこか人間みたいに暮らす街だ。 僕はこの街が好きだった。 「………ここか」 この帝都の外れにある、今にも壊れそうな建物たちが並ぶ一角に、僕の目的地はあった。 ここ帝都も治安がいいとはいえ、まさか人間の世界のように治安がいいわけがない。 トラブルは、絶えないのだ。 そんなトラブルを僕も抱えていた。 「……ごめんくださーい…………?」 ドアをノックしてから、ドアノブを開ける。 中にはそう、僕のトラブルを解決してくれるプロがいるはずだ。 噂によれば紅いらしい、トップレベルの揉め事処理屋である、悪魔が。 僕は期待に胸を膨らませ、部屋の中をキョロキョロと見渡す。  
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