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陽菜がゆっくり瞼をあけた
それを見て堪えてた涙が
一気に溢れ出した
「陽菜…陽菜…」
それしか言えなかった
もう話せないはずの陽菜が
パパ?
どうして泣いてるの?
笑って、笑って。
そう言ったんだ
嬉しかった
泣きながら微笑んだ
ふふふ、パパ変なの
泣きながら笑ってる
なんて陽菜が言うから
また涙が溢れてきて
泣きながら笑って
"愛してる"って伝えた
上手く笑えてたかな
困った顔して
"大好きだよ"
って陽菜が言うから
胸が苦しくて苦しくて
泣き崩れた
陽菜の顔が歪んだ
体が動かないようだ
さっきまで出ていた
声も出なくなってしまったのか
かすれた息の音だけが聞こえた
すごく不安そうな顔で
涙を流して僕を見上げてる
複雑だった
ちゃんと手術したら
陽菜はもっと
生きられたかもしれない
僕が陽菜を苦しめてる?
どうしようもなくて
陽菜を抱き締めた
少し安心したようだった
陽菜が口パクで
何かを伝えようとしている
ゆっくり ゆっくり読み取った
"パパ、ありがとう"
それだけ言い残して
陽菜は息を引き取った
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