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「────おいッ!!」
俺はQを突飛ばし、横たわる彼女へと駆け寄る。声を何度もかける、反応はないが、死んではいないようだ。意識を失っている状態だろう、それにしてもQは今何をした?!
鋭い眼差し、それを隣で尻餅ついている彼へと向ける、その眼差しの意味に気づいていないのか、わざとなのか彼は「カハッ」と独特の笑い声を発した。
「――大丈夫だぜ?
記憶を奪っただけだ、俺たちに会った記憶をな。」
「ど、どういうことだ…?」
今の言葉、彼はなんて言った?だってQは能力を失ったハズではなかったか。
「――記憶を“奪う”
“奪う”ことが俺の能力なのはご存知だろ?
確かに、五年前の闘いでその能力は失いそうになるまで“弱まった”だが、“無くなり”はしなかったんだぜ?」
Qは重い腰をゆっくりと上げて、話を続ける。
反能力薬────それが失敗したわけではない、効果が外れた確率を導き出したわけでもない。確かに、薬は作用した。
だが、反能力薬の効果はQの能力を消すところまでには効かなかった。
それは唯一無二の。
彼が【原核】であるから。
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