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静かな夜。町には光があふれている。
「久しぶりに起きたらずいぶんすみにくくなって。」
と感情の無い低い声で言った。
声の主は銀髪のサラサラした髪を腰まで伸ばし首の所で紅い紐で結んでいる。
服は黒い男物の着物で彼の白い肌をより美しく見せている。
彼の目は蒼い色でとても整った美しい顔立ちをしていた。彼は木の太い幹にかたひざを立ててもうひとつの膝は伸ばして座っていた。
「まあ、桜が残っていてよかった。」
と桜の木によりかかった。
「私の桜。私と同じ他と異なる桜。」
その桜は彼の言うとおり蒼い色の花を咲かせていた。
そのまま彼は眠りについてしまった。
眠りについてしばらくすると一人の少年が彼の眠っている幹まで登ってきた。
少年は黒い髪に紅い瞳のカッコイイ系の顔立ちで
髪は短髪で黒を貴重とした袴をはいていた。
「ん?見かけない顔のやつ。こいつからすごい妖気を感じる。
でも綺麗。」
と彼の隣に座った。座った直後彼は目を覚ました。
「目を覚ましたか。こんな所で寝てたら風邪ひくぞ。」
彼は、少年の着ている物についている家門を見て静かに言い放った。
「陰陽師か。私を殺しにきたか?」
この言葉には似つかわしく無い落ち着きがあり少年は疑問に思った。
「何落ち着いて言ってんだよ。お前死にたいの?」
彼は静かに目を閉じ
「ああ、死にたい。
永く生き過ぎた。」
と言った。
「へぇ~、珍しいあやかし。俺は月雪(つきゆき)お前は?」
彼は月雪を見て驚いた。
「何故名を教えた?あやかしに。」
月雪は当然の様に
「お前が気に入ったから」
その言葉を聞き、微笑みながら
「名は無い。だけど周りから桜鬼(おうき)と呼ばれている鬼だ。」
「へぇ~、お前鬼なんだ。しかも孤独の鬼」
「...そうだ。」
と言った。すると月雪は木から飛び降り
「またな~、桜鬼」
と言い闇のなかに消えた。
「またなっか。変わった陰陽師だ。」
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