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『零殿
京都でおまんは
帰らんと云うてくれた
わしの側に
居ってくれると
“とうきょう”には
家族が居ったろう
沢山の友人も…』
突然の読み上げに面食らう四人
船夫達も事に気付きはじめ集まりだした
だが、誰一人止める者はいない
『おまんはなぁんも云わんが
寂しい時もあるじゃろう
わしは…おまんが望むなら
時には父にもなろう
母にも
友にもなろう
辛いなら
わしに思いっきり
甘えるがいいき
おまんから奪ってしまった
家族の代わりにはならないじゃろうが…』
龍馬は半紙をなかば降ろし、驚きと予感で動けない零を見つめ、深く息を吸う
『わしと一緒になってくれ!
新しい家族になってくれんか!
おまんの心の穴を
わしに埋めさせてくれ!
わしは…
わしはおまんと居るだけで
幸せじゃ!』
龍馬は語り終えると両手を大きく広げ、満面の笑顔を零に向ける
『此処をおまんの家にしちゃくれるなら…来いち!』
龍馬がすべてを云う前に、零は腕の中に飛び込んでいた
序幕【終】
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