第一章◇文(ふみ)◇

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  口の悪い三人が言う処の 【船上でのご乱心】 から二週間 無事、鹿児島に到着した一行は小松帯刀邸にしばし滞在した 龍馬の怪我は、零の献身的な介護により順調に回復したが、深手を負った手は完治には程遠い状態だった 退屈しのぎと回復訓練のために、龍馬は沢山の詩や手紙をしたためた 一番多かったのは姉の乙女ではなく、毎日一緒にいる零宛だった   可愛い零へ 毎日、看病してくれて有難う おまんが居んかったら 鼻をかむ事もできんかった まっこと感謝、感謝じゃ 突然なんじゃが わしもだいぶ回復した事だし 二人で旅に出んか? 以前、勝さんから聞いちょったんじゃが、西洋じゃ夫婦(めおと)になったもんは、新婚旅行なるものをするそうでな 西郷くんが言うには 霧島に傷にいい 出湯があるらしいんじゃ しばらくはそこで湯治をして 傷が癒えたら色んな所に 連れてっちゃるきの 考えただけでも わくわくしてきたぜよ おまんには沢山の物を 見せてやりたい これから沢山の事を 分かち合おうぞ              龍  
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